不倫について。

不倫について。

恋窓-koimado-へのご相談>

私は既婚で子供はおりませんが、10歳以上年下の部下と不倫関係にあります。彼女には学生時代からの片思いの男性がおり、その相談を受けるうちに肉体関係をもってしまいました。お互い好意はあったようですが、当時は私はそこまで本気ではなく、彼女も年上男性との関係に興味があっただけでした。しかし、会う回数が増えていくと好意は増し、しかし私は離婚するつもりも無く、それは彼女も同意していました。いざ、彼女は相談していた彼と交際が始まると私は言いようのない嫉妬に苛まれ、それを彼女に伝えました。すると彼女は、彼も好きだが私への好意も増していてこのままの関係を続けたいと言われました。私はそれを了承しましたが、やはり嫉妬は解消されず、でも彼女はそんな私に優しく接してくれました。その後、ある日彼女との遠出のデートが決まったのですが、前日に仕事のせいでキャンセルになる可能性があることを彼女に伝えました。結果キャンセルにはならず行ける事になったのですが、その際彼女から、「実は彼との交際は関係なく不倫関係は解消しなければと思っていた。行為が薄まらないかと期待していた。今までの上司部下に戻りたい。しかし、遠出がキャンセルの可能性があるのなんて分かっていたのに、彼氏もできて、連絡も少なくなり、このまま会わなくなっていって関係が薄まるかもしれないと思うと、私は無理だ、普通に生活できない、好意が増している、やっぱりめちゃくちゃ好きで会いたいと思ってしまった。だから本気で好きになったから、このまま続けたい」と言われました。私は心底嬉しく、このままの関係を続けると決めましたが、彼への嫉妬等に耐えられるかという不安もあり、しかし彼女の本音を聞き安心した気持ちもあり、ただなんとか受け入れて時間も経てば良い関係になれるだろうと思いました。そしていざ遠出のデートをすると、彼氏なんか関係なく、とにかく彼女を手放したくないと強く思いました。この先彼女は問題なければ今の彼氏と結婚をするでしょうし、その前に同棲も始まります。いくら本気で好きとはいえ、どこかのタイミングで私との別れを選択されてしまうと考え、その考えは初めからずっと思っていたのですが、離れる不安がかなり大きくなってしまいました。
私の相談内容としては、20代中盤の長年の片思いから交際することができた女性が、本当に私に好意があるなんてことがありえず、彼女を信じきれない気持ちや、いつかきてしまう別れへのとてつもない不安等をどうすれば解消できるかです。
色々相談窓口の内容を見てきましたが、既婚男性と彼氏持ちの未婚女性で、女性には途中から彼氏ができた形で、お互い離婚や別れを望まないでいて関係を続けたいという内容での悩み相談は無く、同じような境遇の方の意見や、体験談を聞いてみたいのですが、なかなかありません。側から見ればとても都合の良い関係のように見えそうですが、私は本気で好きで、なんとかこの都合の良い関係を続けたいのですが、このあまりにも都合の良い関係が終わる可能性を考えると言いようもない不安があり、その解消方法が全くわかりません。心の持ちようや今後の立ち振る舞い等についてご意見を頂ければ幸いです。

── ヤッホイ(30代,男性)

相談内容としましては

・お相手の方が本当に私を好きなのか?
・別れへの不安の解消方法とは?

の2つがあるかと思いました。

ですが,ヤッホイさんは,どちらといえば後者の方が気になっているように思えます。ですので,後者に重点を置いて考えていければと思います。

好意とは意味の創造である

以前,「想い出は人工物に宿る」という記事を書きました。「元カレ/元カノを引きずってしまうのはなぜ?」という知り合いからの質問に答えたものです。

詳細はその記事をご覧いただけたらありがたいですが,私たちが誰かを「好き」だという気持ちは,人工物の意味に深く関わっています。(記事では想い出と書いていますが,これはすなわち「好意」です)

たとえば,失恋の相談をしているうちにだんだんと相談相手に惹かれるみたいなことがあります。これは,相談という状況(人工物)が,別の意味(楽しい会話など)に上書きされたからです。

片思い相手のことを相談する時間・空間が,ヤッホイさんとすごす楽しい時間・空間に意味がヤッホイさんのお相手さんの中で上書きされたことで,「好意」を感じるようになったのだと思います。

好意の肝は「共創」(なにかを共有しながら一緒に創り上げる)ですので,お相手さんはヤッホイさんに本当に好意があるのだと思います。

ちなみに,以前「彼女のきもち。」という記事で,「行動の裏側に心(本心)はない」という話も書きました。ご参考になるかなと思いますので,ご興味ありましたらご覧いただけますと幸いです。

不安を観察する

では,今回の相談のメインであると考えられる「別れへの不安の解消方法」についてです。

結論から言えば,ありません。なぜなら,(今回の場合は関係の死ですが)「死別」への不安と根源的には同じであり,「こうやったら解消できる」というものはないからです。自分の中で折り合いをつけるしかありません。

でも,そう言ってしまっては,元も子もないので,不安を解消はできないかもしれないけれども,不安とうまく付き合えるかもしれない方法として,試してみてほしいことがあります。

それは「不安の観察」です。要するに「眺めてみること」です。

私たちはよくわからないものに対して不安を感じます。初めて挑戦することもそうですし,将来もそうですし,「死」もそうです。そういった「コントロールが及ばないもの」に対して,私たちはどうしても不安を感じてしまいます(その不安を刺激として楽しめる人もいます)。

しかし,「コントロールが及ばないもの」を無理にコントロールしようとしてもできません。であれば,不安を感じた場合に,その不安な気持ちを失くそうとか抑えようとか,見ないようにするのではなく,反対に,しっかりと見つめてみます。「ああ,わたしは今,不安を感じているなあ」と素直にその気持ちを感じてみてください(深呼吸から始めてみてもいいと思います)。その際,決して不安を「悪者」扱いしないでください。不安を感じていることを,そのまま受け止めてください。不安はコントロールしようとすればするほど,手に負えなくなりますので,不安に身を預けてください。

不安に身を預けるためには,不安を感じたままでも,リラックスして過ごせることができる環境をつくってください。書斎に1人でもいいですし,ファミレスで1人でもいいですし,不安を感じている時間を邪魔されない状況をセッティングしてください。どうしてもすぐにセッティングすることが難しい場合は,「あとでそのような時間をつくろう」と不安を感じる時間を先延ばしして,後からそのような状況をつくってください。

不安だけではなく嫉妬も同じです。嫉妬しないようにするのではなく,嫉妬している自分を見つめながら,嫉妬に身を預けてください。ポイントは,嫉妬を感じている自分を感じることです。嫉妬に入り込むと,嫉妬で頭がおかしくなってしまう可能性もありますので,嫉妬に身を預けながらも,今は嫉妬に身を預けているのだ,と感じている自分もいるようにしてください。もちろん,リラックスした環境も必要ですので,トイレに籠もるなり,ネカフェに行くなりして,自分が嫉妬の気持ちを感じていることを感じられるような状況をセッティングすることも大切です。

ただ,1人でできることには限界があります。「不安や嫉妬を素直に感じて,その気持ちを眺めてみて」と言われてもできないこともあると思います。その場合は,今の気持ちを素直に伝えられる誰かを見つけて,その方に話してみてください。できれば,職場の人ではない方がいいと思います。地元の人とか,遠くにいる親友とか,今の生活圏とは関係ない人が良いと思います。

なかなかそんな相手はいない!ということであれば,「恋愛カフェ@オンライン」というLINEのオープンチャットがあります(私が主催しています)。それなりの人数の方が参加しており,中には経験豊富な方もいらっしゃるようです。不安な夜や,嫉妬が収まらない日には,そちらで雑談していただいても良いと思います。

ヤッホイさんが不安や嫉妬と折り合いをつけられる日が来ることを祈っています。