読書感想|社会を知るためには

読書感想|社会を知るためには

筒井淳也(2020).社会を知るためには 筑摩書房

本書紹介 from 筑摩書房

「社会」という言葉は、様々な形で使われていて、普段は存在を意識しないが、その実態はとてもあいまいだ。では、どのようにすれば「社会」を理解できるのか?複雑化、副作用、絡み合う因果関係など、その特徴をつかむ。

本書感想

 筒井先生がいかに「社会」と向き合い続けてきたかがわかる内容。ちくまプリマー新書は,ヤングアダルト(おとなとこどもの間)を対象とした新書(wikipedia)らしいですが,その層だけでなく,ややアダルト(30代前半頃)にも響きます。

 社会がいかにわからないか,そしてなぜわかりにくくなっているか,その中でどのように私たちは生きていけばいいか,「社会」に向き合い続けて考えてきた筒井先生だからこそのお話がたくさんあります。

 社会学入門の入門書としても良い一冊ですし,社会心理学入門の入門書としても読んでほしい一冊です。社会心理学は社会学と心理学を包摂するような,あるいは,間を循環するような学問である必要があると個人的には思っていますが,心理学に染まっている「社会」心理学にとってはぜひとも必要な視点であると思います。

 社会と向き合う心理学者にとっても,平易でありながら,学問のあり方について再考を迫るような一冊ではないかと思います。