読書感想|愛と欲望の雑談

読書感想|愛と欲望の雑談

雨宮 まみ・岸 政彦(2016).愛と欲望の雑談 ミシマ社

本書紹介 from ミシマ社

女性性とうまく向き合えない自身を描いた『女子をこじらせて』で、世の女性の心を鷲掴みにしたライター・雨宮まみさん。日常に転がる「分析できないもの」を集めた『断片的なものの社会学』で、社会学の新たな扉を開いた岸政彦さん。活躍する分野も性格もまったく違うお二人による「雑談」、もう、止まりません!

私たちはときには譲り合うことなく対立しながらも(例・浮気の是非)、他者を信頼したい、他者とともに在りたいという思いについては、共有していたと思う。――「あとがき」より

本書感想

かろやかに進んでいく雑談。だけれど話の内容は濃い。でも雑談だから少しかゆいところもある。その話もう少し詳しく知りたい。だけれどそうすると「対談」になり「雑談」の良さが消えてしまう。「雑談」だからこそ飲み込みやすく美味しい話の展開。

岸政彦氏を通して本書を知った私からすると,本書は岸政彦の著作を読み解く上での視角を与えてくれると思いました。普段学術書では語られない想いやそれを抱いた経緯,個人的なこだわりなどが記されています。それを介して改めて著作を読むことでまた違った風景が見えてくるように思います。

近年,岸政彦氏は対談やインタビューなどを数多くこなしており,そこでも本書のような想いは語られているのかもしれません。でも,雨宮まみ氏の本書から漂う包み込むようなオーラ,社会に対する微妙な距離感,なにより”人が好き”という素直な無邪気さが岸氏を饒舌にさせたのかなと思います。

朝コーヒーを飲みながら読みたい一冊でした。