読書感想|ジェンダー論をつかむ

千田 有紀・中西 祐子・青山 薫(2013).ジェンダー論をつかむ 有斐閣
本書紹介 from 有斐閣
女らしさとか男らしさって? 理系に男子が多いのは? 女性の総合職は少ないって聞くけど…… これらは「ジェンダー」にかかわる事柄です。本書は,あなたの常識に思わぬところから問いを投げかけます。読了後はいまより自由な世界が広がっていることでしょう。
本書感想
知人からの紹介で読み始めました。ジェンダー論について,性別,家族,労働,教育,日常生活,国家,身体,フェミニズムとの関わりから解説しています。
至るところにジェンダー問題が潜んでいること,その問題についてどういう見方が可能であるかということについてわかりやすく解説されていました。
ところどころ難しい内容もありますが,総じてわかりやすい入門書であると思いました。
ただ,「フェミニズムとジェンダー」という章があるように,ジェンダー論はフェミニズムと切り離せませんが,その切り離し難さが逆にジェンダー論を近寄り難いものにしていると思います。すなわち,「女性」が過度に強調されているということです。
もちろん,ジェンダー問題は「女性」の問題から生じているので,その部分が重点的になるのは仕方ないことだと思う一方で,その偏りはジェンダー論の豊かさを奪っているのではないかとも思います。
本書は思考の枠組みを与えてくれるという点において良質なジェンダー論の入門書であり,参考文献もたくさん紹介されていますので,ジェンダー論を次々と深めていくきっかけになるものだと思いました。
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