読書感想|SNSカウンセリング入門

杉原 保史・宮田 智基(2018).SNSカウンセリング入門──LINEによるいじめ・自殺予防相談の実際── 北大路書房
本書紹介 from 北大路書房
中高生の身近なコミュニケーションツールであるSNSは,自殺やいじめ等に悩む若年層の支援で活用が期待されている。一方で,支援者は新たなツールに戸惑うことも多い。本書では,行政初のLINE相談事業の取り組みを示し,その経験知を伝える。短い言葉の交互やり取りによる支援の実際と課題も論じ,今後の展望を開く。
本書感想
2017年に実施された行政によるSNS相談(日本初)の担当者たちが記した体験記に基づくSNS相談の入門書です。
なぜSNS相談が必要なのかが熱く語られ,実際の相談体験から得られた統計データや事例が検討され,具体的な相談体制・方法についても触れられています。
本書のもととなった行政によるSNS相談の一つ「ひとりで悩まないで@長野」は現在も継続して実施されていることから,本書のような取り組みがいかに意義深いものであったのかがわかります。
文字だけのカウンセリング(相談)というと,抵抗感がある場合もあるかと思いますが(本書に示されたSNS相談事例を見る限り,相談員の対応という点に私はかなり課題を感じました),それ以上に恩恵もあると本書を読んで感じました。
本書にも明確に記されていますが,今後どうやってSNS相談をより意義あるものとして位置づけていけるのか,それを考えるきっかけになる本だと思いました。
ちなみに,本書に触発されて「恋愛カフェ@オンライン」というLINEのオープンチャットをはじめました。カウンセリングはできませんが,雑談・相談であればできますので,ご興味のある方はご参加ください。
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