読書感想|論理トレーニング101題

読書感想|論理トレーニング101題

野矢 茂樹(2001).論理トレーニング101題 産業図書

本書紹介 from 産業図書

生き生きとした文章を問題として取り上げ,実践的な論理の力を鍛え上げることをめざす。前著『論理トレーニング』を継承した問題集。接続表現の捉え方,議論 の整理の仕方,論証の構造,批判の技術等を演習形式で扱う。独習用に問題の出し方を工夫し,すべての問題に解説と解答を付した。

本書感想

「解説書なんかいくら読んだって論理の力は鍛えられない。ただ実技あるのみ。」

 本当にその通りでした。自分の論理の力のなさを実感しました。

 論理というと難しそうな印象を受けるかもしれません。しかし,論理は日常的に私たちが利用しており,また私たちに必須な力です。なぜか。論理とはすなわち他者の言いたいことを知る力であり,他者を知るためのものだからです。

 私たちが何かを考え,それを他者に伝えるとき,必ずそれには根拠があります。その根拠が正しいかどうか,明示的かどうかは置いておくとしても,私たちの主張にはその土台となる何かがあります。それを捉えるのが論理です。だから私たちは他者を知るために(その精度はいかなるものであれ)論理を普段から何気なしに使っています。それなしには他者を知ることができないわけです。

 というわけで,論理を鍛えれば他者への理解も深まります。ですので,本書は論理トレーニングであるとともに,人間関係トレーニングでもあります。

 1題1題は簡単ではありません。取り組むのにも時間がかかります。忍耐的な方は最初からじっくり取り組んでもいいと思います。忍耐がない方は,問題に少し取り組んで解けない場合,解説を一度読み,数日後に著者の論理を追いかける形でもう一度問題を解くという読み方をしても良いと思います。ただし,読むだけでは意味がありません。必ず自分で問題と格闘してこそ,論理トレーニングになります。

 本書は何回も読むことで論理を鍛えられます。終いには著者の解説にさえ批判することさえできるかもしれません。そこまできたら次は自分なりの論理トレーニング101題を作ってもいいかもしれません。