読書感想|教養の書

読書感想|教養の書

戸田山 和久(2020).教養の書 筑摩書房

本書紹介 from 筑摩書房

万人の自由のために、魂の自由のために―君が大人になるための勇気と装置をもて!学び生きるうえで大切なすべてを伝える入門講義。

本書感想

「ああ,なんて浅はかなんだ」

本書を読んで強く思いました。もちろん,浅はかなのは本書でありません。私です。

「教養が大事」と頭ではわかっていましたが,「では教養とは何か?」「なぜ大事なのか?」と問われたらしどろもどろです。

博識(知識が多いこと)が教養の条件だったらうんちくを披露する隣のおじさんは教養人になってしまうし(おじさん,ごめん!),だからといって,教養の条件として知識が少なくていいかといわれるとそうではない気もするし。

知識が多いと何が良いのかと言われても,,,

うーん。。。

「安心してください。定義していますよ。」

「はっきり言って自信作だぜ。」(p.125)と著者も述べるような教養の定義が本書には明記されています。

この定義をもってしてはじめて「教養とは何か」そして「それがなぜ大事なのか」が見えてきます。しかし,「戸田山先生がこう言っているから云々」という態度は実は教養から遠いように思います。

したがって,戸田山先生の思索をあしがかりに自分なりに考え,自分の言葉で「教養が大事」であることを説明できるようになったとき,はじめて「教養」が身についたことになるのかなと思います。

もちろん簡単に身につくものではありません。数々の困難(「現代のイドラ」)も待ち受けています(詳細は第Ⅱ部)。しかも個人では到底太刀打ちできないものがほとんどです。だからこそ我々は集団で立ち向かわなければならず,そのために「教養」を身につけた人が1人でも多くいるとより良いのです。

「どうやって教養すればいいの?」

そういった疑問にも本書は部分的に答えてくれています(第Ⅲ部)。正直「うわー,それをやらなきゃいけないのかあ」と思うところもありますが,必ず真似する必要はないのでしょう,きっと。自分なりの教養の作法を整えていけばいいのだと思います(本書的に言えば,規矩をつくるってことなのかもしれません)。

そうやって一歩一歩着実に進んだ先にはじめて「教養」,あるいは,「教養」群(教養は1人では身につかないという点において)があるのだと思います。

「ああ,あたまよくなりたい」