読書感想|「読まなくてもいい本」の読書案内

橘 玲(2019).「読まなくてもいい本」の読書案内──知の最前線を5日間で探検する── 筑摩書房
本書紹介 from 筑摩書房
「何を読めばいいんですか?」と聞かれるたびに困った。「読むべき本」が多すぎる!だから「実は読まなくてもいい本」を決めればいいのでは、と考えた。「知のパラダイム変換」が起きた今、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、ICT(情報通信技術)の分野で「読むべき本」が浮かび上がる驚きの読書術。文庫版書下し「リベラル化する世界の分断」を加えパワーアップして再登場!
本書感想
読まないといけない(=読みたい)本があまりにも多すぎるこの頃。どうしたらいいのだろうと思っていたら図書館でたまたま見つけました。「なるほど!読まなくていい本を決めればいいのか!」目から鱗です。
これまでの知識の集積によって,世界の捉え方は格段に変化してきています。たとえば,天動説の時代に書かれた知識は,現代(地動説の時代)を適切に捉えられないわけで,現代を捉えるにはそれを捉えるために適切な知識が必要なわけです。
そういった「最先端な」知識を紹介しようと試みたのが本書です。「なるほど,ここにアクセスすればいいのだな」と唸らせられました。「読まなくてもいい本」を通して「読むべき本」を教えてくれる面白い本でした。解説の吉川浩満氏が書いていますが,「読まなくてもいい本」をさんざん読んできたからこそ,著者は「読まなくてもいい本」を選別できており,著者の優しさ溢れる一冊です。
しかし,「読むべき本」にもっとアクセスしなければと思わせられた一方,ひねくれ者の私は「読まなくてもいい本」もしっかりおさえながら「読むべき本」をおさえなければと思ってしまい…結局は読まないといけない本がただ多くなるという…。悲しいやら嬉しいやら。
-
前の記事
開催記録|【第2回】<特集「Conceptualizing Psychological Concepts」を読む@オンライン> 2020.10.12
-
次の記事
読書感想|わかりやすさの罪 2020.10.17