読書感想|ぼくは愛を証明しようと思う。

藤沢 数希(2018).ぼくは愛を証明しようと思う。 幻冬舎
本書紹介 from 幻冬舎
渡辺正樹、27歳、弁理士。誠実でまじめなことが取り柄だが、恋愛ではいつも失敗ばかり。そんな僕が、ひょんなことから「恋愛工学」のマスターに出会う。そして、真実の愛を探す冒険に旅立った。
「恋愛工学を知れば知るほど、そして、実際にたくさんの女の行動を目の当たりにすればするほど、世間に広まっている恋愛に関する常識は、すべて根本的に間違っていることを確信した。恋愛ドラマやJ-POPの歌詞、それに女の恋愛コラムニストがご親切にも、こうしたら女の子にモテますよ、と僕たちに教えてくれることの反対をするのが大体において正しかった。」
本書感想
恋愛工学のバイブル。ナンパ実践者のバイブル。と聞いたことのある本書。確かに面白かったです。
・モテ = ヒットレシオ × 試行回数
・非モテコミットとフレンドシップ戦略
・タイムコンストレイントメソッド
・ACSモデル
使えそうなモテ戦略が随所に散りばめられています。心理学でも聞いたことあるような話が出てきて,「なるほど,こうやって応用するんだなあ」ととても勉強になりました。
正直,物語のプロットはありきたりです。
落ちこぼれがある人との出会いをきっかけに成功者になる。しかし,天狗になったことで一旦全てを失う。そのような暗黒な時期に「女神」に出会えたことで,新しい道を歩み出す。
概ねこのようなストーリー展開です。「女神」の存在もありきたりと言えばありきたりですし,ある人が落ちこぼれを拾った理由も見えてきません(取ってつけたような理由はありましたが…)。
そのような本書がバイブルとして祀られる所以は,「感染力」だと思います。本書を読むと,モテ戦略を実践したくなるし,ナンパしたくなります。解説で羽田圭介氏が「本を閉じて違う世界に接続したくなる本というのは,良い本だと思っている」(p.457)と述べていますが,まさに本書は,読書の世界を飛び出して実践の世界へと移行したくなる「感染力」を有しています。
でも,モテやナンパといういわゆるチャラい感じの読後感ではなく,どちらかというと「純愛」ストーリーである電車男を読んだ時のような読後感がありました。
恋愛における幸せって何なのだろうか?と改めて考えさせられた一冊でした。
(本書は解説を含めて457p)
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