開催記録|スウェーデンにおけるSocial Pedagogyの独自性―「援助」と「支援」の視点から

開催記録|スウェーデンにおけるSocial Pedagogyの独自性―「援助」と「支援」の視点から

 先日、「スウェーデンにおけるSocial Pedagogyの独自性―「援助」と「支援」の視点から」というテーマでオンラインによる研究会を開催しました。

 心理学の目的は、行動の予測、他者の理解、現象の説明など多岐に渡ります。それぞれの目的に対して肯定的、否定的な考え方はあると思いますが、心理学が社会から求められている重要な役割の一つに心のケアがあるでしょう。公認心理師の誕生はこの証であると考えられます。

 心理学は、「認知の歪み」の矯正、対話の促進、無意識の意識化など多様なケアを生み出してきました。それぞれにそれぞれの人間観があり、その人間観のもとでケアが行われているわけですが、では「ケア」とは何なのでしょうか。「ケア」には手助けするという側面もあれば、管理するという側面もあります。また、支えるという側面もあれば、与えるという側面もあります。どちらか一方が良く、どちらか一方が悪い、という話ではありません。ただ、「心」というあいまいなものを扱う以上、「(心の)ケア」とは何なのかを考えることは重要であり、翻ってそれは人間をどのようにとらえるのかを考えることにもつながります。

 そこで、心理学とは違う分野で「ケア」について考えている社会教育学がご専門の発表者をお招きし、「(心の)ケア」について考えてみたいと思い,研究会を企画しました。

 以下はそのときの記録です。

研究会詳細

参加者:8名
開催日時:2021年12月18日(土)
開催時刻:14時〜17時40分

発表者

松田弥花
──
スウェーデン留学を機にスウェーデンに惹き込まれる。教育と福祉が融合した考え方・実践のあり方を模索中。

概要

スウェーデンにおける教育と福祉が融合したような領域であるSocial Pedagogy(社会的教育学/社会教育学、以下SP)の独自性について、社会福祉との比較を通じて検討します。スウェーデンは高福祉国家として知られ社会保障制度も充実していますが、近年は他国同様に民営化が進み、以前同様の国づくりは困難となってきています。その状況において、社会保障制度にのみ依存しない市民の生活を下支えする領域として、SPへの社会的期待が高まっています。SPのどのような点が、スウェーデンにおける新しい社会づくりの一端として期待されているのでしょうか。「援助」と「支援」の視点から、皆さまと共に考えていきたいと思います。当日は、研究発表というよりも、座談会に近いようなかたちで、参加者の皆さまと話し合いながら進めていく予定です。ご参加をお待ちしています。