Constructing the subject(Danziger, 1990)を読む@オンライン

Constructing the subject(Danziger, 1990)を読む@オンライン

 このたび、『Constructing the subject: Historical origins of psychological research』(Danziger, 1990)についてのオンラインによる勉強会を企画いたしました。

 近年、心理学の在り方の問い直しを迫るさまざまな動きが出てきています。

 たとえば、心理学の再現性問題が大々的に取り上げられて以降、学界内ではオープンサイエンス、事前登録、統計改革など様々な改善計画が取り組まれてきました。これらの改善計画は、心理学を「科学」とみるか、「非科学」とみるかにかかわらず、心理学の在り方に大きな影響を及ぼします。

 学界内の動きだけでなく、昨今のコロナ禍においては、自粛要請、自粛警察、行動変容など、社会においても様々な出来事がありましたが、そこで議論になったことの中には、心理(あるいは心理学)に関する話題も多数存在しました(たとえば、恐怖のコミュニケーションや同調圧力など)。

 また、公認心理師という国家資格の成立は、「心理職」および「心理」というものの私たちの日常生活における位置づけをこれからさらに大きく変容させることになると考えられます。

 以上のような学界・日常生活問わず心理学の在り方に関するいろいろな動きがあることを踏まえると、心理について考えること、あるいは心理学は新たなフェーズに入ったようにも思います。というのも、以上の動きは、心理学(的知識)を正当とみなしたうえで、実際の社会(学界内外含めて)をデザインしていると考えられるためです。しかし、心理学の正当性がどこまで確かなものなのかについては議論の余地のある問題です。そのような中、心理学の正当性に基づいて社会をデザインしてしまってもよいのでしょうか?

 そのようなことを考えるにあたり、Danziger K. 『Constructing the subject: Historical origins of psychological research』(1990)は、私たちに1つの手かがりを与えてくれるように思います。本書は1900年前後から1940年代(心理学の成立当初)の学界とその周辺の動きに着目し、心理学の方法がいかに社会・政治・経済的な文脈の中で作られてきたのかについて議論しています。ダンジガーは、普遍的な科学としてではなく、一つの歴史/ストーリーとして心理学を描きました。

 ダンジガーの試みからおよそ30年が過ぎて、心理学だけでなく、私たち自身を取り巻く状況も大きく変化しました。その間、心理学も心理学と共にあった人々・社会も変化を続け、上述した動きを今もまさに生み出し続けています。どのような影響を及ぼしているかに関わらず、現代において心理学が大きな影響を持っているからこそ、あらためて私たちは心理学をどうしたいのか、あるいは心理学とともに社会をどのようにしたいのかを考えることが必要であると考えられます。すなわち、これまでの心理学の流れをどのように捉え、これからの心理学をどのように展望するのか、自分なりの心理学史(あるいは心理研究史)を思い描くことが求められるように思います。

 ダンジガーが捉えた歴史を参考にしながら、これまでとこれからの心理学について、皆で考え議論したい。以上の経緯から、今回、Danziger K. 『Constructing the subject: Historical origins of psychological research』(1990)の読書会を開催することにしました。

 読書会は3回に分けて開催いたします。第1回の開催情報は以下です。多数の方のご参加をお待ちしています。

第1回の詳細

日時

2022年1月29日(土) 14時〜17時

スケジュール

14時〜14時10分 あいさつ等

14時10分〜14時40分 第1章 Introduction
── 報告者:仲嶺 真

14時45分〜15時45分 第2章 Historical roots of the psychological laboratory
── 報告者:小田 友理恵

15時50分〜16時50分 第4章 The social structure of psychological experimentation
── 報告者:新原 将義


#時間は目安(隙間時間は休憩を予定)

場所

Zoom
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主催

DigRoom:「心」「人間」「心理学」について考える研究会です。
|本会は,日本心理学会の研究集会等への助成による助成を受けています。
|お問い合わせは 仲嶺 真 abcdigroom[at]gmail.com まで([at]は@に変換をお願いします)
|企画協力:北本遼太、広瀬拓海

次回の研究会

 第2回は2022年2月、第3回は2022年3月に開催予定です。日程が確定次第、お知らせいたします。