心理学における統計分析(心理統計)利用を考えるの巻

心理学における統計分析(心理統計)利用を考えるの巻

 2021年8月1日に,「心理学における統計分析(心理統計)利用を考えるの巻」という研究会に後援としてDigRoomが関わりました。

 同研究会は,心理学研究者有志による集いで,当日は複数名の方にご参加いただきました。以下に,記録として,同研究会の案内を記載いたします。

心理学における統計分析(心理統計)利用を考えるの巻について(ご案内)

 みなさん,こんにちは。この度は以下の問題意識から,「心理学における統計分析(心理統計)利用を考える」というテーマで研究会を開催することにいたしました。統計分析(心理統計)に関わる者(ユーザーや研究者)も,関わらない者(非ユーザー)も一緒に心理学における統計分析利用についてざっくばらんに対話し,心理学の方法をあらためて振り返る時間を設けたいと思っています。

 ご興味・関心のある方はぜひご参加いただけますと幸いです。

 心理学の研究法を取り巻く環境は徐々に変化しており,量的研究法だけでなく,質的研究法も認められることが珍しくなくなってきました。このような変化があるにもかかわらず,心理学教育の中で質的研究法を系統的に学ぶ機会はまだまだ多くはなく,量的研究法が心理学研究法の主流を占めている状況です。つまり,統計分析(心理統計)は心理学の研究方法として,まだまだ中心的な位置を占めていると言えます(実際,「心理学研究」誌を見ても,統計分析が重要な役割を果たす量的研究がほとんどです)。

 ところで,統計分析を用いた研究(量的研究)を行っている方は常に体感なさっていることと思いますが,統計手法は日進月歩であり,その動向を追うことは統計を専門に研究していない研究者(統計分析のユーザー)にとっては簡単なことではありません。しかし,だからといって,自分が取得した量的データを適切に分析したいと思う以上(そして,そうすることが研究者として求められる以上),ユーザーである人は統計分析の勉強を避けて通ることはできません。もともと知りたかった研究テーマの勉強とともに,統計分析についての勉強をすることは大変なことであり,ユーザーである私たちの中にはこのようなジレンマを抱えて日々過ごしている方もいらっしゃるかもしれません。

 他方,心理統計の専門家の中には,そのようなユーザーの状況を傍目に見ながら,ユーザーの手助けをしたいと思う一方で,自分の興味関心を進めたいので,そのような時間を作れないとお考えの人もいるかもしれません。あるいは,量的研究を実施する以上,心理統計の専門家との協働が必須であり,複雑な分析を実施する際には,専門家と協働できる体制を築くことが望ましいとお考えの人もいらっしゃるかもしれません。

 心理学の発展のためには統計分析の発展こそが必要で,統計分析について深く学ぶとともに,最先端の分析手法を心理学に積極的に持ち込もうとしている方もいらっしゃると思います。また,そもそも統計分析(量的研究)では人間をとらえることはできないと考えて,オルタナティブな研究方法(多くは,質的研究)の重要性を打ち出している方もいらっしゃるかと思います。そして,そこまで極端ではなく,統計分析について学びつつも質的研究法のような別の研究方法に興味を持ちはじめている方もいらっしゃるかもしれません。あるいは,統計分析も質的研究法もその両方が重要だと考えている方や,質や量のような区別自体がそもそも無意味であると考えている方もいらっしゃると思います。

 いずれにしても,私たち心理学者は,統計分析に関わっているか否かに関わらず,それを意識して研究をしなければならないことは間違いありません。そのような中,私たちは,統計分析(心理統計)に対してどのように関わっていけばいいのでしょうか?このような素朴な問題意識から,まずは統計分析(心理統計)をどのように利用しているのか,あるいはどのように利用したらいいのか(利用しないほうがいいのか)について,ざっくばらんに意見交換をする機会を設けてみたいと思いました。この意見交換を通して,心理学における統計分析(心理統計)の関係について,今一度考えてみたいと思います。

 具体的には,以下の日程とプログラムで開催する予定です。お忙しいとは存じますが,ぜひご参加いただけますと幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしています。

日時:2021年8月1日(日) 13時〜16時

内容(プログラム):

13時~ 自己紹介 一人8分程度(自己紹介5分,質疑3分)

  • 自分の研究テーマ・スタンスとともに,統計分析に対する考え方をそれぞれお話しいただきます。資料などを特別に準備する必要はございません(もちろん,必要であれば準備して頂いても問題ありません)。

14時~ 自己紹介を受けての振り返り

  • 自己紹介を受けて,それぞれの考え方について気になったこと,違いを感じたこと,今まで考えていなかったことなどを共有します。

14時30分~ テーマトーク

  • 事前に準備させていただいた3つのテーマをもとに,自由に意見交換を行います。

15時40分 クロージング

場所:Zoom(参加申し込みを下さった方にIDとPWをお送りします)

主催:仲嶺真,広瀬拓海,北本遼太

後援:DigRoom https://shinchology.net/digroom/
# 本会は,日本心理学会の研究集会等への助成による助成を受けています。

申し込み先:仲嶺真(abcdigroom★gmail.com)までご連絡ください

以上