節約?

節約?

Luisella Planeta LeoniによるPixabayからの画像

 今住んでいるところの近くには図書館がある。近くと言っても,歩いて20分くらいはかかるから,そこまで近くはないけれど,いい運動になると思えば気持ち的には近い。

 気になった本はすぐ買いたくなって,ときに買ってしまうのだけれど,このご時世だから運動も兼ねて節約をしようと思い,気になった本はまず図書館で借りてみることにした。図書館が近いからできることである。ありがたい。

 早速図書館に行ってみると,借りようと思っていたよりも倍の冊数を借りてしまった。目的の本を探す間に,気になっていた本がたまたま見つかってしまうのだから仕方ない。自分に言い訳をしてみた。果ては,たまたま通路上に飾ってあった「オススメの本」がとても面白そうに見えて,トドメの1冊で借りてしまった。すぐに読めそうな本だから大丈夫。またも自分に言い訳をした。

 トドメの1冊は借りたことを後悔した。これは買うべき本だ,節約のつもりが,またも買う本を増やしてしまった。でも,そういう本を見つけたのは喜びでもある。だから,後悔だけでなく喜びもあるのだけど,この感情をうまく表す言葉がない。私が知らないだけかもしれない。なので,この「本末転倒なんだけれど,それはそれで喜びである」という感情を,後喜悔(ごきかい)と名づけることにした。後喜悔。ちょっと厳かで良い感じ。

 ところで,一つの言葉で人間の感情を表現できるのだろうか。人間に何かが起きたときの感情って,後喜悔のように,いろいろと混じり合っているように思う。「喜び」とか「後悔」とか「怒り」とか,感情を簡潔に表す言葉は思いつくのに,感情を複雑に表す言葉は思いつかない。あれ,これも節約?言葉も節約されているのかもしれない。